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『決着! 恐竜絶滅論争』後藤和久(岩波科学ライブラリー)を読む

恐竜はなぜ絶滅したのか?
6,550万年前の白亜紀末,恐竜を含む生物の大量絶滅は大きなナゾであったが、2,010年3月<小惑星衝突>がその事態の引き金だった,という論文が科学雑誌サイエンスに掲載された。この本の著者もその論文の共同執筆者だった。

  この1,980年代から世界的に議論され出した<小惑星衝突>説は,メキシコ・ユカタン半島の地下約1キロメートルに埋没している直径180 キロメートルの円形構造巨大クレーターの跡が1,991年に確認されることで、地球上の火山の大噴火説は圧倒的に根拠を失って行った。

  だが素人目には,地球外物体が地球に衝突してこういう大事変が起こるというよりは、地球上の火山大噴火などに原因を求めたくなるものだ。しかし事実は違っ て<小惑星衝突>だという調査研究は、特にメディアなどの反論を誘導する報道を斥けて着々と進んで来たらしい。
 現在この<小 惑星衝突>についてさしあたり二点の解明が急がれているという。ひとつはこの巨大クレーター(チチュルブ・クレーター)が発見されてからすでに20 年が経つが,サイズや衝突規模などなど未だ解明されてないことが多く,試料採取のため1キロメートルほどの掘削が必要で、そのための科学的掘削コアの配置 や絶対量の不足をカバーすることが急務。チチュルブ・クレーターの研究から,衝突と環境変動の規模,どれだけの環境負荷があれば生物は絶滅しうるのかとい う、生物学的研究の同時進行。

 この地球上の自然科学的な問題ですら、解決には時間がかかり更に今後の課題も積まれている。これに比べると地球上の社会科学的課題の解決には更なる膨大な時間が必要なことだろう。