<ノーベル賞、大隅さんに授与 生命の新分野、扉開く>東京新聞16/12/11

ストックホルム共同】2016年のノーベル賞授賞式が10日夕(日本時間11日未明)、スウェーデンストックホルム市内のコンサートホールで開かれた。医学生理学賞の大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)にカール16世グスタフ国王がメダルと賞状を授与した。

 細胞が内部のタンパク質を再利用するオートファジー(自食作用)と呼ばれる仕組みを解明し、新しい研究分野の扉を開いたことが評価され、最高の栄誉に輝いた。

 大隅さんは妻の萬里子さん(69)と共に授賞式に出席。授賞式を終えた大隅さんは「ようやく(授賞発表からの)2カ月が終わったという気がしています」と話した。

<ノーベル賞・大隅さん、若手研究者にエール 「一回だけの人生、挑戦を」>東京新聞16/10/5

「昨日から取材続きで寝不足。家で一杯飲めば実感が湧くと思う」。ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった東京工業大栄誉教授の大隅良典(おおすみよしのり)さん(71)は四日、研究室がある横浜市緑区の同大すずかけ台キャンパスで開かれた会見に妻の萬里子さん(69)とともに出席。一夜明けの心境を述べた上で「一回だけの人生なので、チャレンジしてほしい」と若手の研究者に向けてエールを送った。 (梅野光春、志村彰太)

 大隅さんの受賞理由は、細胞内で栄養をリサイクルする仕組み「オートファジー(自食作用)」の解明。三日から取材が殺到した大隅さんは「いま、実はオートファジー状態」と、食事を取れない忙しさを冗談めかして表現した。萬里子さんが「ぜいたくな人ではないから、ご飯とみそ汁と魚でいいかな」と質素な祝宴を提案すると「とにかくビールが飲みたい」と応じた。

 大隅さんは米国留学中、研究成果に恵まれなかったことを振り返り「すぐに成果が出なくても、五年先、十年先を考えて問題を設定してほしい」と心構えを説いた。今後の基礎科学のあり方には「文教予算は戦闘機一機に比べれば大したことない。今の倍にしても国力からすれば問題ない。企業も大学に資金を出してほしい」と注文を付けた。

 会見場には、東工大の研究者や学生も詰め掛けた。同大化学生命科学研究所の助教野亦(のまた)次郎さん(36)=生化学=は一年前、実験中に「至福の時だね」と声を掛けられたことがあり、大隅さんの気さくな人柄に魅力を感じている。この日の一時間にわたる会見も傍聴し「研究が年単位でうまくいかないことがある。きょうの大隅さんの言葉で勇気づけられた」と話した。

 またキャンパス入り口前には「ノーベル賞受賞おめでとうございます」と書かれたポスターが貼られ登校する学生が記念撮影するなど祝賀ムードに包まれた。

 高分子化学を学ぶ修士課程二年の山下幸大(ゆきひろ)さん(24)は「大隅先生は学内で一番有名な先生。研究室が近く、昨日は受賞で喜ぶ声とかが聞こえてきて、ノーベル賞を身近に感じることができた」と語った。既に企業への就職が決まっており、「社会に役立つ研究者になりたい」と話した。

<国内最速のスパコン始動…「京」の2・2倍>16/12/02/ 07時36分/読売新聞

東京大学筑波大学は1日、計算速度が国内最高のスーパーコンピューター「オークフォレスト・パックス」の運用を始めた。

 最大で1秒間に約2京5000兆回(京は1兆の1万倍)の計算ができ、理化学研究所の「けい」(神戸市)の計算速度の約2・2倍となる。

 新しいスパコンは、富士通が超高性能な部品などを使って製作した。東大柏キャンパス(千葉県柏市)に設置され、開発費は5年半のリース料も含め約72億円。実験的な運用を経て、来年4月から地球の大気の状態のシミュレーションや素粒子の研究など、高度な計算が必要な分野で活用される。

 11月に発表されたスパコンの計算速度を競う世界ランキング「TOP500」では、「京」(7位)を上回り6位になった。

<人間科学の百科事典>A5判・802頁  本体20,000円+税 ISBN978-4-621-08830-2 丸善出版株式会社

本事典の特長

人間科学領域で用いられる重要な中項目257を選定。
家政学、体育学、看護学などのヒトをあつかう学問・研究分野から、住宅、家電品などの製品開発・設計まで幅広く網羅。
全項目2~3ページ読みきりで、読みやすい構成。

日本生理人類学会 編
編集委員長>

勝浦哲夫(千葉大学大学院工学研究科 教授)
<編集幹事>
岩永光一(千葉大学大学院工学研究科 教授)
安河内朗(九州大学大学院芸術工学研究院 教授)
編集委員
青柳 潔 :長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
山崎和彦 :実践女子大学生活科学部
工藤 奨 :九州大学大学院工学研究院
下村義弘 :千葉大学大学院工学研究科
井上芳光 :大阪国際大学人間科学部
古賀俊策 :神戸芸術工科大学大学院・芸術工学研究科
原田 一 :東北工業大学ライフデザイン学部
恒次祐子 :森林総合研究所構造利用研究領域
樋口重和 :九州大学大学院芸術工学研究院
野口公喜 :パナソニック株式会社 エコソリューションズ社
前田享史 :北海道大学大学院工学研究院
安陪大治郎:九州産業大学健康・スポーツ科学センター
中村晴信 :神戸大学大学院人間発達環境学研究科
草野洋介 :国立病院機構長崎病院
小林宏光 :石川県立看護大学看護学部
岡田 明 :大阪市立大学大学院生活科学研究科
仲村匡司 :京都大学大学院農学研究科
石橋圭太 :千葉大学大学院工学研究科
小谷賢太郎:関西大学システム理工学部

 

「生物としての人間(ヒト)」を研究対象とする人類学,人間工学,家政学,体育学,看護学,福祉学,心理学,デザイン学など人間科学の研究領域や,住宅,家電品,車両等の製品開発・設計の現場において「ヒト」を知ることは極めて重要なことである。しかし,本当の意味で「ヒト」を知ることは決して容易なことではない。「ヒト」を知るためには様々な観点から多面的にとらえ,「ヒト」の全体像を見ていく必要がある。今まで「ヒト」を多面的にとらえ,詳細に解説した事典は刊行されていなかった。
 本事典は,まず人間科学に関連する重要な中項目257を選定し,それらを「ヒトの遺伝」「カラダの構造」「カラダの機能」「脳と心」「ヒトの感覚」「ヒトと環境」「ヒトの営み」「健康と福祉」「社会と文化」「ヒトを測る」の10章の中で解説したものである。この中で人間科学領域で用いられる重要キーワード約7000語が説明されている。それぞれの解説の中で最新の科学的成果を踏まえ,「ヒト」の機能的特性,構造的特性等を明らかにすると共に,現代社会・文化と「ヒト」の関係についても言及している。また,巻末には重要キーワード,人名などの索引を充実させ,辞書的な使い方もできるようになっている。さらに本事典は冊子体としての出版と共に,電子版の出版も予定されており,新しい活用法が期待できる。こうしたことから製品開発・設計の現場における問題発見・解決型の用途にも十分に対応できるものと思われる。
 本事典は,生理人類学の観点から「ヒト」について多面的に解説したものであり,人類学,人間工学,家政学,体育学,看護学,福祉学,心理学,デザイン学などの人間科学領域の研究者,学生,製品開発・設計者などの専門家のみならず,公共図書館,学校・大学などの教育機関,さらには個人ユーザーなど,多くの方に興味深く読んで戴けるものと確信している。

編集委員 勝浦 哲夫
目 次

1.ヒトの遺伝 
生命の起源/細胞/生と死/発生/タンパク質/生殖/免疫/進化/種/自然選択/霊長類/人類/遺伝学/遺伝の法則/遺伝子/表現型と遺伝子型/遺伝病/遺伝子とがん/感覚受容体/遺伝子工学再生医療/ゲノムとビジネス 

2.カラダの構造 
骨格/関節/運動器/筋/筋紡錘/運動単位/循環器/心臓/血液/神経系/ニューロン/感覚器/内臓/消化器/皮膚/手/足/眼/耳/身体のサイズ/体型/成長/性徴/体組成/体表面積/姿勢 

3.カラダの機能 
呼吸/循環系/酸塩基平衡/自律神経系/消化と吸収/体温調節/発汗/血圧調節/内分泌/免疫/直立二足歩行/活動電位/筋収縮/眼球運動/音声/反射/姿勢反射/伸張反射/巧緻性/振戦/一側優位性/エネルギー代謝/無酸素能力/有酸素能力/生理的多型性/全身的協関/機能的潜在性/ホメオスタシス/自律性情動反応/概日リズム/生体リズム/性差/性徴 

4.脳と心 
脳/覚醒水準/意識/遠心性コピー/注意/記憶/夢/知能/サブリミナル効果/錯覚/性格/情動・感情/快適性/感性/ストレス/精神的ストレス/季節性感情障害 

5.ヒトの感覚 
視覚/視力/視野/視認性/立体視/色覚/内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)/聴覚/味覚/嗅覚/痛覚/触圧覚/温度感覚/方向感覚/平衡感覚/時間感覚/重量感覚/感覚の年齢差・性差/特殊感覚の法則/共感覚/感覚の統合 

6.ヒトと環境 
温度/寒冷環境/高温環境/耐寒性/耐暑性/温熱指数/至適温度/湿度/空調/電磁波/放射線/赤外線/紫外線/光/可視光線/測光量/色温度/採光/光源/照明/グレア/色/空気質/高圧環境/潜水/低圧環境/宇宙環境/重力/音/騒音/超音波/振動/動揺/乗り物/加速度/気候/極地/森林/都市/地下空間/オフィス/環境適応能/適応 

7.ヒトの営み 
栄養/食行動/生活姿勢/住生活/入浴/睡眠/学習/被服/特殊服/防護服/歩行/運搬/労働/交代制勤務/精神作業/身体作業/単調作業/操作性/作業能力/動作経済の法則/疲労/遊び/休養/余暇/生存競争と行動/脳内自己刺激行動/恋愛/育児 

8.健康と生活 
寿命/成長・発達/老化/介護/QOLとADL/感染症ロコモティブシンドローム/食生活と健康/運動と健康/飲酒と喫煙/メタボリック・シンドローム/がん/こころの健康 

9.社会と文化 
衣文化/住宅/住居/住文化/住宅のデザイン/食文化/人口/死/コミュニケーション/集団行動/利他行動/男女の役割/パーソナルスペース/テリトリー/ヒューマンインタフェース/バーチャルリアリティ/標識/サイン/道具/職人技/機械/工業デザイン/PAデザイン/ワークライフバランス/テクノアダプタビリティ/文化的適応 

10.ヒトを測る 
心電図/心拍出量/心拍変動/血圧/胃電図/筋電図/皮膚電気活動/眼球電図/網膜電図/体温/皮膚温/発汗量/脳波/事象関連電位/fMRI/脳磁図/近赤外分光法/酸素摂取量/エネルギー代謝量/ストレスホルモン/反応時間/フリッカー値/生理的負担/生体観察/生体計測/作業域/動作分析/主観評価法/性格検査/シミュレーション/チェックリスト/尺度と統計的検定/代表値/実験計画法/多変量解析
 
 

<歴史上の人物の身長(2010年8月30日 読売新聞)>

「科学のスパイスで、歴史を楽しむ」というコラムを、科学部長谷川聖治デスクが書いている。

 <山梨県甲州市に住む歴史研究家、矢崎勝巳さん(70)は、自宅敷地の測量をしていた5年前、「身長を割り出せば、自分と置き換えて考えるだろう。写実的な肖像画を手がかりに計算できるはずだ」と思いついたという>
 < 過去の膨大なデータから、人間の手足の管状の骨(長管骨)の長さと身長はきれいな相関がある。大腿骨が最も相関が高いとされるが、上腕骨(二の腕の骨)で も推定が可能だ。解剖学者らによって上腕骨の長さから身長を算出する推定式がわかっている。中学の時に学ぶ1次関数(y=ax+b)の式だ。この関係式 は、時代、人種によって異なるが、発掘した骨から身長を推定する考古学、白骨死体の身元確認など犯罪の科学捜査で今も使われている>

 ということで、矢崎勝巳さんは甲州所縁の,武田信玄は162センチ(室町期の男子平均157センチ)、樋口一葉は140・9〜146・1センチ(当時の24歳の平均身長146・1センチ)などを証明。
さらに徳川家康169センチ、坂本龍馬の場合は、写真の着物の襟の幅から169センチとなった等々。

 更には,今から50年以上も前に、ドイツの人類学者のマーティンらは、欧州人の眼裂幅を時代別、国別に明らかにし、発表していた。文献を調べ、これを利用しようと思った。

 これによりランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットは、154センチと出たなど。

 < 歴史の重要人物を研究するのは、学者だけの仕事ではない。一般の人でも新しい見方を提示できることを訴えたかった。歴史を楽しむ一つの手法を多くの人に 知ってもらえればうれしい」と語る。今では体重を割り出し、メタボだったかどうかを割り出す研究に興味を持つ>とのこと。

 コラム は<既存の考え方に行き詰まった時や、斬新なアイデアを引き出したい時、そこに少しの科学のスパイスをまぶす。そうすると新たなものの見方が開けて いく。矢崎さんが提示した歴史の楽しみ方は、いくつになっても、ほんの小さな科学的なものの見方が人生の幅を広げてくれることを教えてくれている気がする >と結んでい
る。

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 このほんの小さな<科学的なものの見方>が,人生の幅を拡げるだけに止まらず、この社会のあり方を考えるにも必要なものではないか、ということを感じた。(K)

<最大の危険地帯は南関東! 『週刊MEGA地震予測』ユーザー大会で発表>

 先月、2016年9月25日に東京・青海の日本科学未来館で開催された、地震科学探査機構(以下、JESEA)が発行するメルマガ『週刊MEGA地震予測』の第2回ユーザー大会。その席上、日本最大の地震予測メルマガとして震度5以上の地震を幾度も的中させてきたJESEAから最新の地震予測が発表された。

 

 リアルタイムの地震予測実現へ!プライベート電子観測点の設置

JESEA顧問であり測量工学の世界的権威、村井俊治東大名誉教授が講演に立ち、今後、独自のプライベート電子観測点の設置について発表。これにより、短い期間で高精度な地震予測が可能になると述べた。

 

 NTTドコモの協力を得て2015年から設置が始まったプライベート電子観測点は、2015年5月25日の埼玉県北部地震(M5.5、最大震度5弱)、5月30日の小笠原諸島西方沖地震(M8.5、最大震度5強)、9月12日に首都圏地震(M5.2、最大震度5弱)、2016年では5月16日の茨城県南部地震(M5.5、最大震度5弱)や7月27日の茨城県北部地震(M5.4、最大震度5弱)において、それぞれ直前の異常変位を捉えており、村井名誉教授の話を実績面から裏付けている。

続いて、今村遼平理学博士による発表「地震災害から身を守る知恵」、向山栄氏による発表「航空レーザー計測による地震前後の地殻変動解析」に続き、村井名誉教授が再登壇。読者からの質問に答える形で、今、最も危ない地域について解説を行った。

 南関東が危ない!首都を震度6以上が襲う可能性も。

現在、JESEAがもっとも危険と考えているのは小田原沖。メルマガ週刊MEGA地震予測の中で「警戒レベル5」とされている南関東地方、特に太平洋沖を震源とする巨大地震が首都圏を襲う可能性について、改めて村井名誉教授から根拠が示された。

1週間異常変動が起きている

 

 千葉県北部と南部、茨城県の北茨城と筑波など、近い地域が正反対の方向を向いている。この状況は非常に危ない。

駿河湾付近で沈降が進んでいる

火山噴火は地面の隆起に注意するものだが、地震では沈降に着目する。現在、富士山の西側や御前崎で6月前に比べ沈降が進んでいる。

関東大震災は小田原周辺で地震が起きた。小田原で地震が起きた場合、軟弱な地盤が多い東京都は、かなり揺れると考えられる。また、八丈島が沈降しているのに対し、大島や三宅島は隆起していて、歪みが溜まっている。差異が大きくなると地殻が我慢できなくなる。

地殻の歪みによる、地震のきっかけには様々なことが考えられる。毎年夏場に地下水を汲み上げている三和では沈降が進み、北茨城との差が約7センチに達している。月の満ち引きや台風などの低気圧が、トリガーとなって地震が起こる可能性だってある。

3水平方向変位の向きがバラバラである

伊豆半島南部、大島、新島、八丈島は西変位、その他の地域は東変位している。千葉県北部の干潟は東変位、館山は西変位しており、格差は約8センチに達している。更に伊豆半島駿河湾付近の水平変位が複雑に異なる方向を向いており、非常に不安定である。

「太平洋沖を震源とし、南関東地方を震度6程度の大地震が襲う可能性は十分にある。脅かすわけではないが、ここ数ヶ月、来年のはじめ辺りまでに注意して下さい」と警鐘を鳴らし、ユーザー大会をしめくくった。

一人でも多くの人を救いたいと願い研究を続けてきた村井名誉教授は「恐れるのではなく、早めの備えを促したい」と繰り返した。いつ起きてもおかしくないという南関東地震も含め、最新の地震予測情報はJESEAの発行するメルマガ『週刊MEGA地震予測』で毎週水曜日に配信されている。

 

 

 

<ダムから8億トンの温室ガス 世界排出の1・3%と試算>

共同通信2016年(平成28年)10月17日 [月曜日]

 【ワシントン共同】世界に約100万あるダムの貯水池から排出される温室効果ガスの総量は、二酸化炭素(CO2)換算で年約8億トンとの研究結果を、米ワシントン州立大のチームが16日までにまとめた。世界の温室ガス排出量の1.3%に相当するという。

 ダムでの水力発電自体は温室ガスを排出しないが、チームは「温室ガスの排出源として位置付け、対策を考えるべきだ」としている。

 人工的な貯水池は、地上にあった植物や土壌を水没させて大量の有機物を腐敗させるため、自然の湖沼に比べ温室ガスを放出しやすい。